滑降(ダウンヒル=DH) アルペン競技の中でもっとも長い距離を、もっとも速いスピードで滑り降りる種目です。旗門と旗門の間隔も長く、高速ターンの連続となります。コースの途中にはジャンプも設けられ、その飛距離は数十メートルに達することも。また、レース本番前に同じコースを使ったトレーニングが義務づけられている唯一の種目でもあります。そのトレーニングを通じて最速のラインを見極める能力が選手には求められ、それをサポートするチームの力も重要となります。
スーパーG(スーパーG=SG) 滑降と合わせて「高速系種目」と位置づけられている種目です。ただし、コースや旗門の設定によっては、大回転に近い性格になる場合もあります。高速での連続ターンや、滑降に匹敵するジャンプは、この種目の醍醐味。滑降と同じく一本のみの滑走タイムで競いますが、事前のトレーニングは行なわれないため、直前のインスペクション(下見)のみで戦略を立てなければならないという、独自の難しさがあります。
大回転(ジャイアントスラローム=GS) スキー板を滑らせる技術とターンを描く技術との、高次元での融合が求められる種目です。そのため、アルペンスキーの基本が凝縮されているとも言われます。2本滑った合計タイムで競われるので、逆転劇もしばしば起こり、見る楽しみもたっぷり。とくに2本目は、1本目の上位選手が順位を引っくり返してスタートするため、非常にスリリングな展開となります。この大回転と回転を合わせて「技術系種目」と呼び、「高速系種目」と対になる言葉として使われます。
回転(スラローム=SL) すばやい動きと細かいターンが要求される、もっともテクニカルな種目です。旗門設定によるリズム変化も随所に盛り込まれ、選手の失敗をしばしば誘います。トップ選手になると旗門ぎりぎりのラインをねらっていくため、脛や手、または全身でポールをなぎ倒して通過することが当たり前になっています。選手はさまざまなプロテクターを装着しますが、それでもその衝撃は決して軽いものではなく、格闘技にも例えられます。
スーパー複合(スーパーコンビ=SC) パラリンピックでは2010年バンクーバー大会から採用になった新しい種目です。スーパー大回転と回転を1本ずつ、1日のうちに行ない、その合計タイムで競います。性格が大きく異なり、使用するスキー板もまったく違う2種目を一気にこなすことになる点が、この種目の難しさです。ひとつの種目で大きなリードを奪う実力のある選手と、どちらもそつなくこなす選手の両方が、上位争いを繰り広げることになります。